9月3日から10月22日の50日間にわたって、奥能登・珠洲市を会場に繰り広げられる「奥能登国際芸術祭」の作品製作が、8月の初めから現地で始まっていました。
過疎化が止まらない奥能登ですが、珠洲市には近年、移住する人が増えています。珠洲市によると2、3年前から、移住に関する問い合わせが毎年100件近くあり、うち20~30人が移住しているそうです。奥能登が国連の世界農業遺産に認定され、金沢大学の地域連携プロジェクト「能登里山里海マイスター育成プログラム」に参加して、そのまま移住する人もいます。奥能登国際芸術祭実行委員会事務局にも移住者が数人います。鹿野桃香さんもその一人です。鹿野さんは珠洲市について、「海と山がたくさんあって、囲まれていると生活が優しくなり、仕事もスムーズに自分らしくできるのがいい」と魅力を教えてくれました。
珠洲市馬緤町の自然休養村センターでは、北海道在住の美術家・深澤孝史さんが、サポーターと一緒に、珠洲市の海岸に漂着した大量のプラスチックゴミを洗っていました。深澤さんはこのゴミを題材に、大谷地区の海岸に巨大な鳥居を作る計画です。作品名は「神話の続き」。どんな作品に仕上がったのでしょうか?
珠洲市馬緤町の海辺に建つ納屋では、東京を拠点に活動する村尾かずこさんが、壁に漆喰でサザエの殻を貼り付けていました。村尾さんは、フレスコ画と出会い、漆喰を使った作品を数多く手がけてきました。今回の作品は、サザエの中に住んでみたいというイメージから始まったそうです。2万個のサザエの殻を集めるつもりでしたが、数が増えてきて、数えられなくなったそうで…。所々に家のオブジェが作られた殻も。村尾さんは「豪邸はどこかな?と探してみてもらうのもいいかな」と作品の楽しみ方を教えてくれました。納屋の中もどんなふうになっているのか楽しみです。
別格の絶景を誇る木ノ浦海岸では、美術家、工芸家、経済学者など様々な分野のメンバーが関わる「よしだぎょうこ+KINOURA MEETING」が、それぞれの技術を持ち寄って「海上のさいはて茶屋」を作っていました。制作に参加する美術家よしだぎょうこさんは、「小さい偶然が奇跡のように重なって、気持ちのいい風の流れのようなものを感じながら、完成する。まだ始まっていないのに終わるのが寂しい」と話していました。【奥能登国際芸術祭】は9月3日から10月22日の50日間にわたって、珠洲市全域を会場に繰り広げられます。
■【奥能登国際芸術祭】に向けた準備や作品制作の様子は9月2日(土)に石川テレビで放送しました。