春の海は、こんなことになっています。
ゴールデンウイーク初日の5月3日。台風並みの暴風で、奥能登・珠洲の海沿いの道を車で走っていると、風に巻き上げられた海水や砂に混じり、カツンと車のボディーにゴミが当たってきました。プラスチックのゴミです。強風に煽られたビニール袋も、発泡スチロールの容器も道に舞い、転がっていました…。
石川県無形民俗文化財に指定されている「砂取節」。日本で唯一、珠洲に残る揚げ浜式塩田で使うきめ細かい砂を運ぶ際に、塩田で働く人達が歌った唄です。砂取節が歌い継がれているのは珠洲市馬緤町。実は、写真の海岸がある集落です。純度が高くミネラル分も豊富、今や全国区となった珠洲の揚げ浜式製塩法の塩。その源は、海です。
なのに馬緤町の海岸は、吹き溜まりの様に大量の漂着ゴミに覆われていました。哀しい現実です。珠洲は、ナホトカ号の重油流出事故の被害に遭った土地です。海の大切さが身に染みている人達は、決して海にゴミを捨てません。このゴミは、町の暮らしから排出されて、回り回って漂着したものです。もちろん中国や韓国の文字がパッケージに刻まれたプラゴミもありました。でも日本語の物も多い…。
こちらは加賀市片野町の海岸。昨年の「海の日」に片野の住民達による海岸清掃を取材しましたが、久しぶりに行ってみたら、この状態。ここは夏場にバーベキューをやる人達がいて、そんな中の心ない人達が放置していくゴミもあるそうです。でも片野海岸は恐らく、“吹き溜まり”のように海ゴミが漂着してしまう地形なのですね。哀しい現実です。
橋立や塩屋、瀬越がある加賀市は、日本海を駆けた北前船貿易ゆかりの地。海が繁栄をもたらした土地です。それが今、こんなことになっています。珠洲同様、大陸からのゴミもありますが、では日本人はゴミを全く出していないのか…。自問自答しませんか?
加賀、金沢、能登。北陸新幹線開業で大勢の人達が石川にやって来ます。その目当ての一つが海の幸です。私たちの財産は里山里海です。町の中で捨てるゴミ、特にペットボトルやレジ袋などのプラスチックは、雨風によって川へ流れ、いずれは海に…。海は黙して受け入れる。
いやじゃないですか、こんな海。
イベント名 | 海岸に漂着する大量のプラスチックゴミ、何とかしましょう。 |
場所 | 石川県の海岸 |