レポート
2017.10.12

奥能登国際芸術祭リポート Ⅻ

奥能登国際芸術祭」リポート第12弾。里山や町の作品にも「海」が関わっています。

山深い上黒丸にも海の幸が表現されていた

  1. 上黒丸 北山 鯨組 2017
  2. 昔は山海の幸を交換していた
  3. 里山暮らしにも「海」が絡む

山里に広がる鮮やかな大漁旗、水田に浮かぶ船…。坂巻正美作「上黒丸 北山 鯨組 2017」は、山の幸と海の幸を交換していた昔の素朴な暮らしを表現。古びた農家の屋内にも小舟が置かれている。

大量の塩が「大海」を形成

  1. のどかな三崎の民家が舞台
  2. “塩の海”に様々なオブジェ
  3. 民家と塩が織りなす不思議

珠洲市三崎地区の農村。民家に入ると、居間や床の間を埋め尽くす大量の塩が海を形成する。岩崎貴宏作「小海の半島の旧家の大海」は、京都・竜安寺の石庭の様でもある。いろんな角度からじっくり鑑賞すると、いろんな海や暮らし、時代が浮かんでくる。

金沢美術工芸大学アートプロジェクトチーム「スズプロ」の作品

  1. 飯田の古民家全体が作品に
  2. 壁に描かれた「奥能登曼荼羅」
  3. 里山里海、祭り、暮らし、人

珠洲市の中心部・飯田には7つの作品が集中する。奥能登国際芸術祭を機に結成された金沢美術工芸大学アートプロジェクトチーム「スズプロ」が、約1年半をかけて、飯田の古民家全体に多彩な珠洲の民俗を表現した作品が「静かな海流をめぐって」。蔵の壁に描かれた圧倒的色彩の「奥能登曼荼羅」のほか、古民家に残された生活用品を天井から吊った「いえの木」など、随所に能登の暮らしを感じる。

かつてスナックだった建物内部に木工の魚介類が

  1. スナックの店内を魚が泳ぐ
  2. 海中から見たイカ釣り漁
  3. 巨大なカニが座敷に居座る

飯田にある古びた建物内に吉野央子作「LUEN 光陰」。2階のスナックには、魚の木工作品が吊され潮の流れ、魚の勢いを感じる。入り組んだ居間や座敷など居住部分にも様々な生物が配置される。三方を海に囲まれた珠洲の豊かさを想起する。

山里、町、古民家──いろいろな作品が「海」を意識している。それは、人の暮らしにとって「海」が、如何に重要な存在であるかということ。古来から海に生かされてきた人間が、豊かな海を次代に残すことが求められている。

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イベント詳細

イベント名奥能登国際芸術祭
参加人数参加アーティスト 11の国と地域から39組
日程2017年9月3日(日)〜10月22日(日)までの50日間
場所石川県珠洲市全域
主催奥能登国際芸術祭実行委員会
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