地球の環境を脅かす喫緊の課題が「海洋プラスチックごみ」。その解決は人類の責任ですが、未来を担うこども達に、どうやって海の大切さや危機を伝えれば良いのか。能登町での海洋教育をサポートする能登里海教育研究所が第2回いしかわ海洋教育フォーラムを開催、教育関係者や海洋研究者が集いました。
午前の部では、文部科学省特例校として全国唯一の“里海科”がある能登町立小木小学校の5年担任・木村優風(ゆらぎ)教諭が、海洋プラスチックごみをテーマとして実践してきた海洋教育の1年間の授業内容と学習成果を報告しました。最初はごみ問題に無関心だったこども達が、学びを通して特にプラスチックが大切な海に影響を与えることを学び、大きく意識が変わったことが最大の成果だと強調しました。
続いて登壇した松波中学校3年生担任の藤田大介教諭は、2年生の時に海洋ごみ問題を学んだ生徒達が、3年生では奧能登の里海にとって重要な「海藻」をテーマにした理由を説明しました。九十九湾近辺では海藻が減少している事実を知り、奥能登の食文化を支える海藻の大切さを地元の人達に伝える手段として「海藻ふりかけ」製造を行ったこを熱弁しました。
小木小学校、松波中学校ともに笹川平和財団の海洋教育パイオニアスクールプログラム採択校として海の学びを実践しています。
午後の部では、沖縄の海岸漂着物を研究している沖縄大学の盛口満学長と、科学の力で環境問題の解決を目指す団体ピリカの小嶌不二夫代表が、それぞれの取り組みの説明を踏まえて海洋プラスチックごみ問題を考える海洋教育に役立つヒントを提示。最後はフォーラムを主催した能登里海教育研究所の浦田慎主幹研究員が、能登町で5年間実践してきた海洋教育の在り方についての実感と私見を発表。参加した教育関係者は感銘を受け、熱心にメモをとっていました。
地球規模の問題となってしまった海洋プラスチックごみ問題。無論、環境悪化に加担した私達が解決策を探ることは、いわば責務です。しかし、数年という単位で解決できる課題とは、到底思えません。地球の海に回復しがたいダメージを与えてしまった私達は、未来を担うこども達に、その解決を委ねることになりそうです。
その為には、何を伝えてゆくこことが重要なのか──。
深く考えて、行動し、また深く考えて、実践する。
いしかわ海洋教育フォーラムは、海洋プラスチックごみ問題を「自分事」として捉え、行動する必要性を実感させてくれました。
「いしかわ海洋教育フォーラム」の模様は、翌日早朝に犀川で行われた釣り愛好会・アーバントラウト(代表:前田哲昭さん)の有志による河川清掃と合わせて、2月26日(水)夕方の石川テレビ「Live News it !」で特集として放送。
イベント名 | 第2回いしかわ海洋教育フォーラム |
参加人数 | 約50人 |
日程 | 2020年2月22日(土) |
場所 | 金沢海みらい図書館 |
主催 | 能登里海教育研究所 |