能登さいはての珠洲を舞台とした「奥能登国際芸術祭2023」レポートVol.1です。
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2023年5月5日に珠洲市で発生した震度6強の地震は、大きな被害をもたらしました。家屋の倒壊や破損が相次ぎ、今なお民家の屋根を覆うブルーシートが散見されます。9月2日(土)開幕予定だったトリエンナーレ「奥能登国際芸術祭2023」は、当初予定の会期を3週間繰り下げての開催に漕ぎ着けました。珠洲に暮らす人々はもちろん、参加アーティストやサポーターの方々が『負けとられん珠洲!!』を合い言葉に一丸となって進めてきた復興の歩みが、芸術祭の実現につながったのです。
能登半島さいはての珠洲。外浦の海に突き出す馬緤町の鰐崎海岸に、金沢市出身でメキシコを拠点に活動する石彫作家・奥村浩之さんの大作『風と波』がどっしりと構えます。重量25トンもの石灰岩を加工した石彫作品で、造形部分と自然石の部分が混在し、8月下旬に完成しました。
「完全に造ったものではなく、石の形も残しながら僕の手も入って、 人と自然の中間にある造形物として観ていただけたら嬉しい」と、奥村さんは語ります。
白い石と、海の青、空の青、光と影。鰐崎に聳える石の造形は、陽光を浴びて刻々と表情を変えます。
青空と紺碧の海に映える『風と波』ですが、夕陽で橙色に染まる姿も格別です。
鰐崎から車で10分走ると、奥能登随一の絶景と言われる木ノ浦海岸に辿り着きます。ここにも英国を代表するアーティスト、リチャード・ディーコン氏の前衛的な作品『インフィニティ41.42.43』3点が設置されています。45度の傾斜を与えられた金属板の幾何学的な造形物は、宇宙との交信をイメージさせるような、不思議な空間を創出します。
イベント名 | 奥能登国際芸術祭2023 |
日程 | 2023年9月23日(土)〜11月12日(日) ※毎週木曜日は屋内作品休館 |
場所 | 珠洲市全域 |
主催 | 奥能登国際芸術祭 実行委員会 |