奥能登国際芸術祭2023レポートVol.7は、珠洲の山間部・若山エリアです。
アーティスト小山真徳さんの作品「ボトルシップ」。酷暑の中、三崎町小泊の新出製材所で黙々と作品製作に取り組んでいた小山さんは、珠洲の海岸に打ち上げられる様々なモノに強い関心を寄せています。2017年の芸術祭では三崎町粟津の海岸に「最涯の漂着神」を展示しました。今回の作品「ボトルシップ」のバックボーンとなるのも「漂着」。全長7mもの丸木舟に無垢の木から彫り出した木像3体を乗せました。海岸ではなく山深い北山の棚田に作品を配置したのは、太古の昔はこの地も海の底だったのではないかと想像したからだと言います。
丸木舟には水が張られ、水草や珠洲焼の中でメダカが遊んでいます。
若山町の山間にある旧上黒丸小学校には、3組のアーティストが作品を展示しました。嘉春佳さんの作品「祈りのかたち」は、地域の人達が使っていた衣服を畳んで重ね、教室の天井からはカップ型に加工した布が半球状に吊り下げられています。幾何学的配置でありながら、人肌の温もりを感じる空間となっています。
泰然+きみきみよ作「あかりのありか《のと》」。2部屋の教室に珠洲の観光スポットや祭り、珠洲焼などを地元の子ども達や親が積み木として表現し、それを9色のLEDライトが照らす美しいアートです。見附島、禄剛埼灯台、燈籠山祭り、大谷川の鯉のぼり、珠洲焼・・・。芸術祭の会期中には、2作品を参加者が作るワークショップも開催されます。
珠洲の人達が使ってきた電化製品や調理器具などを整然と配置したのが鈴木泰人さんの「音蔵庫」。扇風機、コンセント、裸電球、テレビ、ラジカセ、鍋、コンロ・・・。大谷のスズ・シアター・ミュージアム「光の方舟」を教室という空間に投影したようです。隣の暗い教室には理科の実験道具なども配置されています。
イベント名 | 奥能登国際芸術祭2023 |
日程 | 2023年9月23日(土)〜11月12日(日) |
場所 | 珠洲市全域 |
主催 | 奥能登国際芸術祭実行委員会 |