楽しさ満載の【能登小木港イカす会2018】には、もう一つ“海の学び”という顔がありました。
小木漁協1階では【能登小木港イカす会2018】開幕に先立ち、能登里海教育研究所が「めざせイカ博士」を実施。小木小学校5年生が“授業”を受けました。同校は文部科学省の特定校として年間35単元に及ぶ画期的な海洋教育カリキュラム“里海科”を実践しています。4年目に入った“里海科”をサポートするのが能登里海教育研究所で、その母体は小木にある金沢大学環日本海域環境研究センター臨海実験施設です。施設長・鈴木信雄金沢大学教授が“里海科”の一環として行った「めざせイカ博士」で、スルメイカを解剖しながらイカの生態や体の構造を解説すると、小木小5年生の目はキラキラ。勉強って教え方やテーマ次第でこどもの好奇心を呼び起こすんですね。
小木小学校4年生は能登高校書道部が描いた大書を背に、里海学習の成果を発表しました。4年生になる前に能登町の赤崎海岸に漂着した海ゴミの種類を調査したそうで、成果発表の後には自分達で作った「小木小 大新聞」を来場者に配布しました。
新聞には「ゴミをすてられると小木の人がこまります。魚がゴミなどを食べて死んで魚が少なくなります」など、こども達の素直な思いが書かれていました。
そう言えば昨年は、今の5年生が里海学習の発表を行っていました。
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イカす会には宇出津のふくべ鍛冶も出店していました。国連食糧農業機関から世界農業遺産に認定された能登の里海里山。豊かな海や山に抱かれた奥能登には、自然を畏怖し寄り添う昔ながらの暮らしが根付いています。ふくべ鍛冶は、能登にただ一軒残る能登町宇出津の鍛冶屋です。三代目の干場勝治さんは小木の漁師必携のイカ割き包丁の他、様々な漁具や農具、海に関連する刃物を黙々と製造しています。四代目の健太朗さんは傷んだ包丁や鎌、鍬など農具の修理も行います。このエンジ色の車で出張販売・修理も…。高齢化が進む奥能登には実に有り難い仕事で、こんな商いが連綿と続くことが、能登の里山里海の財産なのですね。
楽しさ、学び、そして人々の暮らし。いろんな顔が垣間見えた【能登小木港イカす会2018】は盛況のうちに幕を閉じました。イカの町・小木の人々の強い思いと絆に圧倒されました。
そんな小木港では、いよいよ来週6月3日、大安の日曜日に今年のイカ釣り漁に向けて漁船が出漁します。記録的なスルメイカ不漁に苦しんだ昨年。海洋環境悪化や北朝鮮籍船舶による違法操業など、小木の漁師達を取り巻く環境は厳しくなっています。安全な航海とイカ漁が行えるよう、祈っています。
■能登小木港イカす会2018は6月2日(土)11:45〜石川テレビ【いしかわの海】で放送
イベント名 | 第5回 能登小木港イカす会2018 |
日程 | 2018年5月27日(日) 10:00~15:00 |
場所 | 石川県漁業協同組合 小木支所ほか |
主催 | 能登小木港スマイルプロジェクト実行委員会 |
協賛 | 能登里海教育研究所 |