日本には海を舞台とした民話や伝承があります。日本財団が推進する「海ノ民話のまちプロジェクト」では、各地に残る海の民話をアニメ化してきました。海を畏れ、海を敬ってきた日本の心を子ども達に継承してもらう狙いで、2023年度は25の民話がアニメ化されます。
さて、国連の世界農業遺産に認定されているのが「能登の里山里海」。自然と寄り添う暮らしが根づく能登には、数多くの民話が残ります。七尾湾に浮かぶ能登島の向田町の中屋家にも、実に興味深い海ノ民話「タコがんさま」(タコ神様)が伝わりますが、このたび石川初となる民話アニメ化が決定したのです!
6月13日、民話が伝わる能登島の人達や郷土史研究家、アニメ制作会社トマソンの監督とプロデューサーが集まり、シナリオの確認とロケハンを行いました。
「タコがんさま」。どんな民話かというと・・・。
【タコがんさま】
その昔、能登島の向田にある中屋家の祖先・三郎助が、大ダコに乗って現れた八幡様を祠に奉ったそう。そのころ向田では火事が相次ぎましたが、不思議と中屋家は燃えませんでした。大ダコが屋根に乗って火災から中屋家を守ったからです。以来、中屋家ではタコを一切食べなくなりました。
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今も残る向田の中屋家は、その「タコがんさま」が伝わる旧家。中屋明人さんは「民話に出てくる三郎助は、七代ほど前の先祖らしい」と言います。
ロケハンに訪れたアニメ監督の沼田心之介さんは、「海ノ民話に登場する人物の末裔が実在するとは…。初めてのケースです」と驚きを隠せませんでした。
タコがんさまが奉られているのは、能登島の観光拠点・道の駅のとじまに向かって右にある愛宕神社です。その参道を下ったところが海に面した向田町です。ロケハンに訪れた一行は、小さな神社や向田町を散策しながら海ノ民話「タコがんさま」に込められた村人達の敬虔深さや思いを感じ取っていました。
アニメが完成するのは今年12月ごろ。来春までには一般公開できる予定です。お楽しみに!
イベント名 | 「タコがんさま」アニメ製作キックオフ会議・ロケハン |
日程 | 2023年6月13日(火) |
場所 | 七尾市・のと里山里海ミュージアム 〜 能登島町向田町 |