3月15日(土)、JR金沢駅ヨコの金沢フォーラス1Fで、2024年元日の能登半島地震と同年9月の記録的豪雨により甚大な被害に見舞われた能登さいはての珠洲市で、2017年、2021年、2023年の3回にわたって開催された「奥能登国際芸術祭」の復興応援展示会が開催されています。
もてなしドーム側の正面から入って一番奥に会場はあります。会場入り口で目を引くのは2023年の芸術祭で馬緤町の鰐崎海岸に設置された奥村浩之さんの作品「風と波」の案内板。地震で多少の破損はあった様ですが、重量25トンもの石灰岩を加工した石彫作品力は、今も強くどっしりと構えています。
展示作品のメインは、一面を彩る金沢美術工芸大学アートプロジェクトチーム・スズプロの大作「奥能登曼荼羅」です。
珠洲市では、2024年元日の能登半島地震の前から群発地震が多発し、2022年6月19日に震度6弱、2023年5月5日に震度6強の地震が発生しました。2023年5月の地震により珠洲市飯田町の旧八木家の土蔵壁面に描かれていたスズプロによる2017年の大作「奥能登曼荼羅」は、土蔵の壁が破損し修復不可能だったのです。
しかし壁面に直接描かれたのではなく、壁に貼った和紙の上に描かれた絵画だったため、これを剥がして取り出し保存していたのです。
その後に発災したのが2024年の巨大震災。旧八木家は全壊し、建物は解体されて今は更地に。旧八木家には他の作品もありましたが、「奥能登曼荼羅」だけでも救済できたのは不幸中の幸いです。
作品は日本海から見た珠洲なので、さいはての岬に佇む禄剛埼灯台は下方に描かれています。古来から続く各地のキリコ祭りや、伝統の揚げ浜式塩田など現代の民俗や産業も描かれている大作でした。救われた壁画を観に行って下さい!
「奥能登曼荼羅」にも描かれていたのが、外浦側の伝統的揚げ浜式製塩の様子。会場には道の駅すず塩田村も出店し、評判の揚げ浜塩を販売していました。すず塩田村は能登半島地震による土砂崩れで孤立し、さらに地割れが起き、海水を採取していた海岸も隆起によって汀線(波打ち際)は最大100mほど遠くに。停電や断水もありましたが、何より従業員の被災もあって休業を余儀なくされていました。
そこに2024年9月21日の能登半島豪雨が追い討ちをかけ、大量の土砂が塩田に流入する被害に遭いました。ミネラル豊富な美味しい揚げ浜塩を作るために欠かせないのが、塩田の砂。これを入れ替えるという大変な作業が待ち受けます。3月3日(月)に一部の営業を再開しましたが、本格営業までは遠い道のりです。すず塩田村の商品を購入することが支援に繋がります。
震災や洪水の前、すず塩田村では塩撒き体験が出来ました。あの日々が戻ってくることを願います。
新型コロナウイルス感染症で本来2020年開催予定だった2回目の奥能登国際芸術祭は、1年延期。「奥能登国際芸術祭2020+」として2021年秋に開催されました。そのメイン作品だったのが金沢美術工芸大学OBの山本基さんの大作「記憶への回廊」です。珠洲市三崎町小泊の旧小泊保育所の室内を、珠洲の空と海の青、塩の白でラビリンスを描き、奥には山本さんの人生を表現した塩の階段が設置されていました。過去2度の震災を乗り越えたものの、2024年1月の能登半島地震で作品は倒壊しました。
イベント名 | 能登半島地震復興応援企画 「奥能登国際芸術祭展」 |
日程 | 2025年3月15日(土)〜4月13日(日) 10:00〜20:00 |
場所 | 金沢フォーラス1F |
主催 | 株式会社OPA 金沢フォーラス |