プラ製品は安くて壊れにくく便利である反面、海に流出すれば自然分解されずに数百年も残るため、地球規模の重要課題です。そんな問題を解決する一助になるのが大麦ストローです。金沢市を拠点に活動する蒲田ちかさんが製造販売する大麦ストローは、「土から生まれ、土に還る」自然素材。プラスチック製のストローが海洋プラごみに占める割合は微々たるものですが、身近なアイテムが気づきを与えます。
今回のプログラムでは、ストローには出来ない長さの麦わらを利用して、北欧フィンランドの伝統的な装飾品「ヒンメリ」を作るワークショップも。生徒達は悪戦苦闘しながら、何とか10面体ヒンメリを作り上げました。糸で吊せば風でゆらゆらと動くオシャレなインテリアになります。
このヒンメリキットは大麦ストロー同様、小松市の農業法人嵐農産が提供した麦わらを使っていて、小松市の就労支援施設サービスセンターあしだの入所者が作ったものですが、実はデザインや作り方の資料は東京の専修大学生が作ったものなんです。
珠洲のワークショップに、なぜ東京の学生が???
東京・神田神保町にある専修大学は、SDGs研究に力を入れています。商学部・神原理教授は、人や環境に優しい商品のコンテスト「ソーシャルプロダクツ・アワード」を通して蒲田さんと出会いました。では、環境に良い大麦ストローの認知度を高めて流通させるには何が必要か? 大麦ストロープロモーションが神原ゼミの研究テーマとなりました。神原ゼミの学生達は2021年夏、大学キャンパス1階にある喫茶店SENDAI-Kaffeeの協力で、大麦ストローを使用してもらう取り組みを行いました。
学生達は単に大麦ストローを使ってもらうだけでは伝わらないと考え、大麦を使った様々なヒンメリキットや大麦コースターも製作し、オシャレなビジュアルの販売コーナーも設置したのです。そしてヒンメリの作り方動画も!
大麦を使って海を守りたいという蒲田さんの想いが、小松や専修大学の皆さんとつながり、そして今回、SDGs未来都市である珠洲市とつながったというわけです。
なお専修大学生が作ったヒンメリキットや大麦コースターは、珠洲市の道の駅すずなりで販売してます。
珠洲の大麦WSを体験した開智学園の生徒達からは、様々な感想が出ました。
「海がないので遠い話だったけれど、いざ聞くと身近に感じた」
「SDGsは具体的に解らなかったので、ためになった」
「自分でできることをしようと思う。家族に伝えたい」
プログラムに立ち会った能登里海教育研究所の浦田慎主幹研究員は、予想以上に大麦ストローに興味を持ってもらえたことや、生徒それぞれにプラスチック問題への危機意識を持っていることへの驚きがあったそうです。
美しい海に囲まれた能登さいはての珠洲。
教育旅行に来る高校などからは、SDGsプログラムの要望が増えていて、すずなりでは、今回の大麦WSを定番企画にする予定です。
若者達には、珠洲で学んだことを海の未来を変えるアクションのきっかけにしてほしいですね。
イベント名 | 開智中学・高等学校 フィールドワーク(教育旅行) |
参加人数 | 24人 |
日程 | 2022年3月8日(火) |
場所 | 珠洲市 |
協力 | 能登里海教育研究所 |