「知れば知るほど、海はおいしい。」
海のごちそうフェスティバル2023が、10月21日(土)〜22日(日)に東京・二子玉川ライズで開催。様々な海の幸と食を通して、日本の海で起きている問題を知って考えるきっかけとなるイベントです。開幕と同時に来場者が訪れたのは、42都道府県の77品が販売される海のごちそうマルシェ。石川県のブースには、能登さいはての珠洲市の伝統の揚げ浜塩と、道の駅すずなりのたべる煮干しの2品が並びます。そしてブースには「負けとられん珠洲!!」のロゴマークが。
5月5日(金)14時42分。突如、さいはての珠洲市を震度6強の大地震が襲いました。過疎地である珠洲は古い民家が多く、家屋倒壊や半壊が相次ぎ大きな被害を被りました。正院町岡田では裏山の崖崩れによって坂東家の木造住宅の一部が押し潰され、高齢女性が一時閉じ込められる事態となりました。
一ヶ月余り経った6月10日。ラポルトすずで、今年で3回目となる奥能登国際芸術祭2023の企画発表会がありました。地震で開催が危ぶまれましたが、力強く震災復興を目指すため、当初の予定を3週間繰り下げての開催が発表されました。発表会の後半で提示されたのが、震災復興のシンボルマーク「負けとられん珠洲!!」だったのです。驚くべきことにロゴマークをデザインしたのが、崖崩れの被害に遭った正院町岡田の子息で金沢美大研究生の坂東凛太朗さんだったのです。ステージでは坂東さんがロゴに込めた力強い思いを語りました。
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海のごちそうマルシェの石川ブースに掲げられた「負けとられん珠洲!!」のロゴマークには、そんな背景があったのです。
屋外にはキッチンカーが並び、様々な背景を持つ魚介を使った料理が提供されています。中でも行列が絶えなかったのは「函館ブリ塩ラーメン」。ブリは本来、暖かい海である西日本や九州に多い魚で、北海道では殆ど獲れていなかったのです。それが地球温暖化に伴う海水温上昇によって北上するようになり、この10年で北海道でも大量に水揚げされるようになったのです。
ところが、北海道にはブリを食べる文化が無いのです。つい最近まで北海道の海に居なかったのですから。しかし獲れはじめた以上は、地元でしっかり消費することが大切です。それが漁業従事者の生活を支え、海洋国家ニッポンの豊かな食文化を維持することになるんですね。
近年の海洋環境変化は、苛烈と言えるレベルに達しています。サンマ、サケ、スルメイカ──各地で漁獲激減が伝えられます。その一方で、北海道ではブリ水揚げが激増…。実は石川や福井でも20年前まで殆どいなかったサワラが急増している実態があります。
「食」を通して海洋環境に触れる良い機会、それが海のごちそうフェスティバル2023です。
イベント名 | 海のごちそうフェスティバル2023 |
日程 | 2023年10月21日(土)〜22日(日) |
場所 | 東京・二子玉川ライズ |
主催 | 一般社団法人 海と食文化フォーラム |